魚介類には何らかの寄生虫がいます。ぶりには「ブリ糸状虫」や「アニサキス」、イクラのような魚卵にも寄生虫はいるんです。自分で魚を釣って生食する人は特に、魚介類の寄生虫については知識が必要です。
ここでは、ぶりや魚卵に寄生しているアニサキスについて述べ、食中毒予防に必要な下処理や加熱処理、対策などをまとめました。
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アニサキスとはどんな生き物?
「アニサキス」は寄生虫の一種で、線の形をした動物「線虫」に分類されています。クジラなどの海洋に生息する哺乳類のお腹の中で成虫となります。成虫になると卵を産み、その卵は哺乳類の便と一緒に海水へ放出されます。
放出された卵は海洋中を漂い、「オキアミ」というプランクトンに捕食されます。そして、オキアミの体内で卵から幼虫へと成長していきます。その後再び海洋中の哺乳類に捕食されて成虫となり、卵を産んで子孫を増やしていきます。
人間がアニサキスによる食中毒「アニサキス症」を引き起こすのは、オキアミの体内で孵化したアニサキス幼虫です。幼虫の長さは約2~3㎝、幅は約0.5~1mmで、少し太い糸のような形をしています。
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アニサキス症の原因となる魚介類とは?
アニサキス症の原因は、サバやイワシ、カツオ、サケ、サンマ、アジなどの魚介類を、刺身のような生または生に近い状態で食べることです。
アニサキス症の原因となる魚介類の種類は、日本近海で漁獲されるものだけでも160種以上!
その中でも、特にサバが最も重要な感染源であると考えられています。
しかし、それ以外でもアニサキス症の原因となる魚介類は多く、例えば、筋子からばらしたイクラをよく見てみると、細長いアニサキスが動いているのを発見するなんてこともあるのです。
つまり、海洋産の魚介類であれば何でもアニサキス症の原因となりうるのです。
アニサキスが成虫になるためには、イルカやクジラなどの哺乳類に捕食されることが必要不可欠なため、イルカやクジラが好んで食べる魚にはアニサキス幼虫がいる可能性が高くなります。
イルカやクジラの好物こそが、イカやサバ、サンマなどの魚介類であり、こうした魚介類にはアニサキス幼虫がいる可能性が高いのです。
アニサキス幼虫を食してから4時間~8時間後に、激しい腹痛が起きます。
これは、人間の胃の中に入ったアニサキス幼虫が、外に出ようと胃袋の内側に噛みつき、胃袋を食い破ろうとしているからです。
また、吐き気や嘔吐も伴います。中には湿疹が出た人や失神した人もいるようです。
アニサキス症が疑われる場合は、すぐに病院に行きましょう。
アニキサスをなぜ食べてしまうのか?
アニサキスの寄生率が高い魚介を刺身で食べる場合、目視によるチェックは重要です。しかし、調理者がその作業を怠ったり見落としてしまったりという事例は少なくありません。
スーパーなどで刺身用に提供されているものでも、食卓へ出す前に一度目視することを忘れないようにしましょう。
アニサキスの寄生率が高くない魚を調理する場合、この魚にはいないと思って調理している事例が多くあります。天然魚にはアニサキスがいるんだ!と思って調理しましょう。
〆サバを食べてアニサキス症を発症した人は少なくありません。アニサキスは酢で〆ると死滅すると思っていませんか?醤油やわさびを付けて食べれば大丈夫だと思っていませんか?アニサキスは酢で〆たり醤油やわさびを付けたくらいで死滅したりしません。
このような間違った知識が、アニサキス症の原因となることもあるのです。
アニサキス症にならないために
魚介が水揚げ直後の鮮度の高い状態であれば、アニサキスは内臓にとどまっています。水揚げから時間がたつにつれて内臓の温度が上昇してくると、より冷たい場所を求めて身の中に移動します。
鮮度の高いものならば、内臓を除去すればアニサキスを取り除くことができますが、時間が経って身の中に移動してくると、気づきにくくなってしまいます。刺身で食べるなら、鮮度が高い状態で調理されたものを食べましょう。
鮮度の高い魚を仕入れ、且つ内臓を取り出しているお店は信用できるお店です。
自分で釣った魚を刺身で食べる方は、釣ったその場で内臓を取り除いておきましょう。魚釣りをする際にはナイフなどを持参し、クーラーボックスや氷を用意して鮮度を保ちます。
自宅で刺身を切る場合は、調理前にしっかり目視しましょう。特に、お腹の部分にはアニサキスがいることが多いです。
切る際はなるべくそぎ切りにしましょう。薄く切ることでアニサキスを見落とさないためです。
また、アニサキスは切られると死にます。イカソーメンのように細切りに切ることで予防することができます。
鮮度が落ちた魚介は、加熱調理か冷凍保存をしましょう。アニサキスは70℃以上で加熱、または48時間以上冷凍すると死滅しますよ。