神戸、尼崎、名古屋に大阪と、日本でのヒアリの発見が徐々に広がっており、今後も拡大の恐れがあると考えられています。
ヒアリが今後、天敵と言われるアリクイがいない日本を、新たな生息地として繁殖していく可能性は?
また、日本の寒い冬を越冬できるのか?
天敵アリクイのいない日本で繁殖・越冬の可能性や生息地についてまとめました。
ヒアリが危険な理由
ヒアリは、世界の侵略的外来種ワースト100選定種で、特定外来種にも指定されている生物です。
ヒアリは攻撃性が高く、何度も毒針で刺してきます。
ヒアリに刺されると、軽度な状態では熱いと感じる激しい痛みやかゆみに襲われ、やけどのような症状が出ます。
中度の状態になると、部分的または全身にかゆみが広がり、じんましんが現れます。
重度になると、呼吸困難・血圧低下・意識障害がおこり、最悪の場合アナフィラキシーショックを発症して死に至ることもあります。
アナフィラキシーショックとは、極めて短時間で体全体にアレルギー症状が出る反応です。
この症状が出ると死に至ることがあるため、ヒアリに刺されると危険というわけです。
過去にハチに刺されたことがある方は特に注意が必要です。
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ヒアリが日本に上陸!広がる生息地
ヒアリは元々、南米中部が原産のアリです。
しかし、1942年にアメリカ南部で発見されて以来、現在では環太平洋諸国、カリブ海の島々、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、中国にも定着し、人間だけでなく家畜などにも被害が拡大しています。
ヒアリのドーム状型の巣が、都市などの構造物や道の下などに作られ、建物の倒壊や道に穴を開けるといったことが起きています。
また、働きアリの体内には磁気に誘引される物質があるため、電気設備に侵入して破壊するといったことも起こっています。
さまざまな作物を食い荒らし、農業機械や整備をも破壊し、野生動物や家畜にも襲い掛かって失明させたり怪我や死に至らしめたりといった農業被害も深刻です。
アメリカでは、毎年1400万人以上の人が刺され、死者も年間100人と、ヒアリによる被害は脅威を与えています。
日本においては、今年の5月26日、中国から神戸港に陸揚げされたコンテナを尼崎市内で開封したところ、大量の成虫や卵が見つかり、国内初のヒアリ上陸となりました。
その後、尼崎で見つかったヒアリが一時保管された神戸港でも100匹発見され、
名古屋港においても、6月27日、中国から運ばれたコンテナの天井の外側で、アリ7匹が見つかり、鑑定の結果ヒアリと判明しました。
7月4日には、大阪港でも見つかったと環境省から発表があり、約50匹の死骸の中には、産卵する女王アリとみられる死骸も見つかりました。
ヒアリにもいる!?天敵たち
ヒアリには天敵がいます。
その中の一つがアリクイです。
出典:https://www.pz-garden.stardust31.com
アリクイは皮膚がとても分厚いので、ヒアリに刺されたり、蟻酸をかけられたりしても問題はありません。
それどころか、逆に自分についている寄生虫を退治するために、わざとヒアリに刺されるくらいです。
また、ゾンビバエと呼ばれるノミバエの一種は、ヒアリの体に寄生します。
ゾンビバエは、トゲをヒアリの体に突き刺して卵を産み付け、体内で孵化して幼虫になると、ヒアリの体液を吸って成長し、最後にはヒアリの頭部へ向かって脳を食べてしまいます。
ヒアリに感染するウィルスも!
2002年、ヒアリの天敵ウイルス「SINV-1」が見つかりました。
このウイルスに感染すると、約3カ月でヒアリのコロニーは消滅すると言われています。
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ヒアリは日本に定着するのか?
出典:https://chibaphoto1.sakura.ne.jp/
ヒアリの天敵がいない日本に、ヒアリはこのまま生息して定着してしまうのでしょうか?
アリの場合、基本的に分業体制ですので、女王アリさえ侵入しなければそれ以上増えることはありません。
しかし、残念ながら大阪で発見されたヒアリには女王アリが確認されており、周辺で繁殖している可能性は拭えません。
でも、ヒアリは亜熱帯から温暖帯を好んで生息しています。
日本の寒い冬は、ヒアリにとって越せないのでは?
ヒアリが日本に上陸したのは中国広東省広州市のコンテナです。
中国広東省といえば、冬は10℃を下回ることもある地域です。
そんな場所で生息できるということは、活動が鈍ることがあっても、日本の冬は越せるということなのではないでしょうか?
ヒアリの繁殖期は春・夏に多く、結婚飛行は晩秋まで行われるそうです。
日本にこのまま定着しないためには、まさに今この時期、気をつけなければいけませんね。