私たちは日頃から刺身をよく食べますが、生魚には「アニサキス」と言われる寄生虫がいることをご存知?
年間2~3千人のアニサキスによる食中毒患者が発生しているとも!
アニサキスによる食中毒の予防として、スライスしたりよく噛むといった方法がありますが、よく噛むこと、スライス、加熱・冷凍などアニサキス予防についてまとめました。
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アニサキスって何?
アニサキスは、寄生虫(線虫)の一種です。
主に、イルカやクジラなど海洋の哺乳類に寄生しており、寄生した哺乳類の糞便と一緒に放出されたアニサキスの卵が、魚介類に捕食され、ヒトへと感染します。
アニサキスの幼虫は、長さ2~3cm、幅0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のような形で、魚を捌いていると、普通に目で見ることができる大きさです。
幼虫は主に、サバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類に寄生します。
普段は魚介類の内臓に寄生していて、魚介類が死亡すると、内臓から筋肉に移動してきます。
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アニサキスによる食中毒ってどんなもの?
アニサキスの幼虫が寄生している生鮮魚介類を、生食又は生に近い状態で人が食べることで、幼虫が胃壁や小腸壁に頭部を突き刺したり、もぐり込んだりし、摂取後数時間で激しい腹痛や嘔吐を引き起こします。
「急性胃アニサキス症」では、食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を引き起こします。
「急性腸アニサキス症」では、食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を引き起こします。
激しい腹痛や心窩部痛、悪心・嘔吐といった症状を引き起こしますが、下痢症状がないという点は他の食中毒と違うところです。下痢はないけれど気持ちが悪い、とにかくお腹が痛い、これがアニサキス症の特徴です。
また、アニサキスはアレルギーをもたらすこともあり、かゆみやじんましんなどの症状が出ることがあります。アニサキスによる食中毒が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。消化器内科専門の医院、内視鏡専門医、消化器外科のいる総合病院がおすすめです。
アニサキスによる食中毒の予防方法は?
アニサキスは、魚介類の内臓に寄生していますが、鮮度が落ちると筋肉にも移動してきます。
お刺身で食べるなら、とにかく新鮮なものを食べましょう!
加熱が不十分な魚の内臓は絶対食べない!
これがアニサキスによる食中毒の予防の基本です。
アニサキスは、加熱だけでなく、冷凍でも死滅させることができます。調理する前に一度冷凍させておくのもよいでしょう。ただし、冷凍する場合は、-20℃で24時間以上冷凍しなければアニサキスは死滅しません。
スーパーなどで売られている刺身用の魚は、アニサキス予防も兼ねて48時間以上冷凍されています。
家庭用冷蔵庫では、中までしっかり凍らせるにはかなり時間がかかりますので、それ以上の時間をかけて冷凍してください。
アニサキスは、長さが2~3㎝ほどの大きさなので、よく目を凝らしてみれば見つけることも可能です。調理前にまず、目視で確認しましょう。取り除くことができる大きさの幼虫ですので、魚全体を見まわし、取り除いてください。
調理する際には、しっかり火を通すことを意識しましょう。70℃以上の熱で加熱すればすぐに死滅します。
スーパーなどで売られている加熱用の魚の切り身や肝などには、アニサキスが寄生している可能性大です。だから、加熱用とあるんですね。加熱用のものを生のままで食すのは絶対やめましょう。
アニサキスは少しでも傷がつくと死滅します。ですので、お刺身にする場合は薄くスライスしたりイカソーメンのように細切りにすることで食中毒を予防することができます。
アニサキスによる食中毒を予防するのに「よく噛む」という方法も紹介されていますが、実は、これだけで予防することはとても危険です。アニサキスの幅は0.5~1mmのため、噛んでいても歯の隙間から逃げてしまうことがあります。
また、アニサキスの虫体は強靭で、通常の咀嚼で嚙み切ることはかなり困難です。噛むことに集中してせっかくの味をじっくり味わえないなんて悲しいですし、噛み切れていなければ意味がありません。
鮮度のよいものを選び、調理前には目視、内臓を生で食べない、筋肉部に寄生している可能性が高い鮮魚は加熱・冷凍をして食べる、これを徹底することが大切です。
最後に、シメサバのような食酢での処理や塩漬け、醤油やわさびを付けたとしても、アニサキスの幼虫は死滅しませんのでご注意を!